放送史

【放送のオーラル・ヒストリー】

放送の国際化の現場①

国際関係業務の実相~1970-80年代を中心に~

「放送のオーラル・ヒストリー」は、放送関係者の証言を用いた放送史研究である。

戦後、日本企業と日本社会が国際化してきたように、「放送」も、1952年から国際放送が再開されるなど、さまざまな側面で国際化が進展してきた。「放送の国際化」は、放送をめぐるさまざまな内的、外的要因が相互に関連しあうなかで生じる、複合的で多様な側面を持つものである。

このシリーズ(3回)は、「放送の国際化」の現場で実務に携わった人たちのオーラル・ヒストリーによって、多様な「放送の国際化」のある側面を切り取り、文書資料ではなかなか見えにくい実像を表していこうというものである。1回目の今回は、70~80年代に国際関係業務を担当した2人のオーラル・ヒストリーを展開している。そこからは、NHKのなかで国際共同制作が本格化していく様子や、衛星放送実用化と効率的経営という二つの課題のなかで、NHKの国際関係業務が、国際交流的な意味合いのものから、ニュース素材獲得のための実利的な提携関係に変容していく様などが、具体的に見てとることができる。

メディア研究部 東山一郎