放送史

<放送史への証言> 竹山昭子さん(放送史研究家)

戦前・戦中・戦後を通してみた体験的放送史

前編:『兵に告ぐ』から『玉音放送』へ

放送史研究の第一人者として精力的な研究活動を続けている竹山昭子さんから聞いた戦前・戦中・戦後を通しての放送にまつわるさまざまな話を、12月号と1月号の2回にわたって、前編・後編として掲載する。

竹山さんは、黎明期や太平洋戦争下におけるラジオ放送の実情を分析した『ラジオの時代』や、国民に戦争終結を告知した『玉音放送』などの著作で放送史研究家として広く知られている。また、創成期の民間放送(TBS)の女性アナウンサーとして、放送の第一線でも活躍した。

こうしたことから、竹山さんは、放送の歴史的な瞬間に自ら立会い、放送を彩った時々のキー・パーソンと直接巡り会うという貴重な体験をしている。竹山さんへのインタビューは、放送の歴史の中に記憶すべき貴重な価値を持っている。

前編では、戦前・戦中のラジオ放送の実態についての話をとりまとめて掲載する。竹山さんは、2・26事件のときの『兵に告ぐ』や、太平洋戦争開戦の臨時ニュース、終戦時の『玉音放送』など歴史に残る放送を、直接聴取している。その当時、放送が人びとに与えた影響がどのようなものであったのかを、自身の体験や研究の成果を踏まえて話してもらった。

メディア研究部(メディア史) 加藤元宣