メディアフォーカス

不正B-CASカードの輸入差し止め税関で水際措置へ

有料放送を無料で視聴できる不正B-CASカードに対する,スカパーJSAT,スター・チャンネル,WOWOWの有料放送事業者3社とB-CAS社による輸入差し止めの申し立てが,8月20日に税関で受理され,今後,輸入時に差し止め,取り締まる水際措置がとられることとなった。

有料衛星放送では,放送波にかかったスクランブルを,契約者のみ受信機側で解除し視聴させる技術的制限手段がとられている。受信機側でのスクランブル解除をコントロールするのが,受信機に挿入されるB-CASカードで,契約に基づき放送局から送信する信号を受けてスクランブルを解除し,契約者限定の視聴を可能としている。

ところが,放送局の解除信号なしに,すべての放送のスクランブルを解除するよう予め設定した不正なB-CASカードが出回り,購入者が有料放送をただで視聴する被害が出ていた。

こうした技術的制限手段を回避する不正カードの譲渡,輸入等は,不正競争防止法(不競法)で規制され刑事罰の対象ともなっているが,海外からの個人輸入は捕捉しにくく,規制の実効性確保が問題となってきた。

今回の対応は,2011年,不競法の技術的制限手段回避装置の譲渡等への刑事罰適用(同法21条2項4号)の改正に合わせ行われた,関税法の改正により可能となった輸入時の水際措置(関税法69条の11)を活用したもの。

コピーや視聴を技術的手段でコントロールするデジタル時代には,著作権法,不競法等に基づいて,回避行為等から保護手段を守る対応が求められている。

山田 潔