メディアフォーカス

仏・有料地デジチャンネルの無料化申請独立規制機関が却下

フランスでは,既存の大手商業放送傘下の有料放送3チャンネルが,テレビ広告市場への参入となる無料チャンネル化を申請していたが,メディアの規制機関が2014年7月29日,広告市場に与えるインパクトが大きいとして申請を却下した。

フランスでは2011年末の完全地上デジタル化後に独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)が新たに6つのチャンネルに無料放送の免許を付与し,無料地デジチャンネルは18から24に増えた。これに対して有料の地デジチャンネルは8つあるが,相対的に視聴シェアを下げ,契約数も減少し経営が悪化している。

このため既存の大手商業放送3社のうちTF1は傘下のニュースチャンネルLCIを,M6は傘下の娯楽チャンネルParis Premièreを,またCanal+は傘下のドキュメンタリーチャンネルPlanète+を,いずれも有料から無料の放送へ変更するよう,2014年1月から3月にかけてCSAに相次いで申請した。

CSAは3つのチャンネルが無料化されることによって,テレビ広告市場に与える影響を審査してきたが,景気の低迷で広告市場が縮小し,先行きも不透明であることから,「広告市場からの収入は,さらなる無料チャンネルの増加を支えきれない。また(完全デジタル化後に放送を開始した)無料6チャンネルは未だ損益均衡に達しておらず,経営が軌道に乗っているわけでもない」として3社の申請を却下した。

CSAは2013年の改正放送法で,市場影響調査を行って経済面での規制を課す権限を付与されており,その初の行使となった。

新田哲郎