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英BBC会長,番組制作上の“競争革命”を公表

イギリスの公共放送BBCのトニー・ホール会長は7月10日,ロンドンで行われたセミナーで,番組制作上の外部委託義務の基準を撤廃し,BBCで放送する番組すべての制作を内外のプロダクションによる自由競争とする一方,BBCも外部の事業者から受託制作できるように変更するという考えを明らかにした。

イギリスでは,独立系の民間プロダクション(インディーズ)の育成・支援を主要な目的に,1990年放送法でBBCを含む地上テレビ事業者に対し,ニュースを除いた一般番組の25%をインディーズに外部委託することを義務づけている。BBCでは2007年以降,さらに25%をインディーズとBBCとの競争に開放し,純粋な内部制作は50%におさえる独自の規則を導入していた。

ホール会長はセミナーの中で,インディーズが寡占化した他,国内の優良なインディーズを米国資本が次々と買収するという変化が生じたため,「管理された競争」が市場をますますゆがめていると指摘した。また,大規模化したプロダクションはもはやインディーズとは認定されず,彼らが制作する人気番組は内部保障の50%にカウントされ,内部制作の割合の縮小が,BBCが育てた優秀で才能ある制作者のBBCからの流出という現象を生んでいると述べた。

ホール会長が提案したこの“競争革命”は,今秋に監督機関であるBBCトラストに提案される予定で,今後の特許状更新議論の際の中心テーマになるとみられている。

中村美子