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英BBC,2013年度年次報告書発表

イギリスの公共放送BBCは7月21日,2013年度の年次報告書を発表し,トニー・ホール会長は「最高のものをすべての人に届けるのがBBCの中心的役割だ」として,コンテンツのさらなる品質向上と,デジタル技術の革新的な利用を目指すという目標を述べた。

前年度の年次報告では元司会者の児童性的虐待事件などの釈明に割かれた巻頭のパートに,今年度は「高品質で独自性のあるコンテンツの提供」,「すべての視聴者へのサービス提供」など,BBCの戦略目標を改めて記した。実績報告では,2013年度1年間にBBCテレビを見た人は英国民の99.6%に上り,1 人当たりの週間平均視聴時間も約9時間と,テレビ視聴習慣が変化し競争が厳しさを増す中でも,BBCテレビは堅調であったと総括した。ラジオについては,減少傾向にあった聴取時間が下げ止まり,国民の約60%が週1回以上BBCを聞いたことが紹介され,ラジオで流れた好きな曲を集められる新サービス「プレイリスター」など,デジタル戦略をもってすれば未来は明るいとの認識を示した。この他,見逃しサービスのBBCiPlayerを使った番組リクエストは33%増の30億件に上ったことや,モバイルやタブレットの普及に合わせて,コンテンツも双方向で,パーソナル化し,持ち運びしやすい形で提供するよう,技術革新を行っていることが報告された。

不祥事が相次いだ厳しい時期を乗り越えたホール会長は「誇れることの多い1年だった」と総括し,厳しい財政の中でも,最高のコンテンツをすべての人に届けるために,今後も創造性を発揮し,技術革新を行っていくと表明した。

田中孝宜