メディアフォーカス

香港,行政長官直接選挙支持のメディアサイトにハッカー攻撃

香港で6月18日,「壹傳媒」(Next Media)系列の新聞「りんご日報」のサイトがハッカー攻撃を受け,アプリケーションソフトなどが一時的に正常に機能しなくなった。この少し前から,香港の行政長官直接選挙を要求する模擬投票の実施を予定していた香港大学のサイトが,DDoSと呼ばれる大規模なハッカー攻撃を繰り返し受けていたことや,りんご日報が行政長官直接選挙を強く支持していたことから,攻撃はこうした動きに反発する勢力が実行したものとみられている。

香港では,2017年の行政長官選挙をめぐって,中国政府に批判的な人物が当選することがないよう,立候補者の資格に制限を設けようとする中国政府と,市民から一定の支持を得られた人物は全て立候補できる完全な直接選挙を求める民主派の間で対立が起きている。この問題で,民主派の一部は6月20日から22日にかけて,香港大学の「民意網」というサイトで,直接選挙支持を表明するための模擬投票を計画していた。

今回,「民意網」やりんご日報のサイトが相次いでハッカー攻撃されたことを受けて,模擬投票の主催者は投票期日を1週間延長することを表明したが,事件の結果,市民の模擬投票への関心が高まり,最終的な投票数は香港の全人口の1割以上にあたる78万7,000票余りに達した。また,香港がイギリス領から中国に返還された記念日の7月1日には,長官直接選挙を支持する市民51万人(主催者発表)が街頭デモに参加,民主化に対する香港住民の強い思いを表明した。

山田賢一