メディアフォーカス

NHK初のハッカソン開催若者が考える新しいテレビ視聴のあり方

放送事業者によるハッカソンの開催が相次いでいる。ハッカソンとはハックとマラソンを組み合わせた造語で,ウェブエンジニア等が一定の期間内に共同でソフトウェアや新サービス等の開発を競い合う催し。2014年3月にはTBS,5月にはNHKがハッカソンを開催した。

NHKのハッカソンは5月24日から2日間,BSの新番組『国際報道2014』の視聴拡大を狙って開催された。「若い世代にテレビニュースを楽しんでもらう方法の開拓」というテーマを掲げホームページで参加者を募ったところ,数時間で予定枠を超える57人が参加登録をした。20代から30代の若い世代が大半で,番組の視聴経験のある人はほとんどいなかった。「なぜ番組を見ないのか」「見たくなるにはどうすればいいのか」,テレビ離れが進む若い世代の参加者が自分ごととして考え,アイデアを競ったNHK放送技術研究所や大手通信会社等の非公開のものを含めた最先端の技術も提供され,2日間で12のアイデアが具現化した。

大賞を受賞したのは「5sec GIF NEWS」。番組放送中に,放送直後のニュースを5秒のGIF動画に凝縮し,リアルタイムでネット上に配信するというサービスだ。普段,ニュースを見ない人でも面白いニュースに気づけるというのが売り。一つのニュース映像を5秒にまとめるなど,制作者側からは生まれにくい発想だろう。審査員からは,ネットからテレビへの還流を起こさせる可能性があると高い評価を受けた。

放送と通信の融合時代における新たな価値の創造は,こんな仕掛けをきっかけに始まるのかもしれない。

後藤千恵