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ギリシャ,新公共放送大幅縮小で放送開始

国の緊縮策の一環として2013年,政府が公共放送を閉鎖したギリシャでは2014年5月,新しい公共放送が大幅に縮小した形で,11か月ぶりに放送を開始した。

巨額の債務をかかえEUなどから支援を受けているギリシャ政府は,EUなどが求める公的セクター縮減の一つとして2013年6月11日,公共放送ERTを突然閉鎖し,2,650人の職員を解雇した。これに対してEBU(ヨーロッパ放送連合)が,公共放送の独立性を踏みにじるものだと非難するなど内外で強い反発が起きた。

政府は新たな公共放送として,NERIT(New Greek Radio, Internet and Television,新ギリシャ・ラジオ・インターネット・テレビジョン)立ち上げを表明,放送開始が延び延びとなっていたが,2014年5月4日, 日曜午後6時のニュースからNERITの放送を開始した。当面はニュース,スポーツ,映画が主な番組となるが,放送開始にあたってNERITは「表現の自由を保障する憲法の条項にのっとり,完全な独立性において番組を編成し,透明性と説明責任を持って公衆に接する」と表明した。

NERITは当面,ERTの元職員の再雇用を中心とする800人の体制で,テレビ1チャンネル,ラジオ2チャンネルの放送と番組のインターネット配信を運営するが,今後,さらに650人程度を雇用し,ローカル放送と国際放送を再開する計画だという。旧ERTは国際放送も含めてテレビは4チャンネル,ラジオは5チャンネルを運営していた。これに比べるとギリシャの新公共放送は,要員,体制ともに大幅に縮減して再スタートすることとなった。

新田哲郎