メディアフォーカス

独ドイチュラントラジオ 機構改革で労使対立

ドイツの公共放送,ドイチュラントラジオ(DLR)のシュトイル会長が推し進めるニュース・情報番組に重きを置いた機構改革をめぐり,会長とDLRの職員らが対立している。

DLRは,ARDやZDFといった公共放送と異なり,広告収入に依らず,放送負担金のみで運営されている。冷戦時代の東西ドイツにあった3つのラジオ局を統合する形で,1994年に開局した。

報道や情報番組のDeutschlandfunk,教養・ドキュメンタリー・ドラマなどのDeutschlandradio Kulturの2つのチャンネルに加え,2010年から若い世代向けのデジタル専門チャンネルDRadio Wissenの放送を始めた。現在はケルンとベルリンの2か所から放送を行っている。

2014年の開局20周年に際して,シュトイル会長は,ニュース・情報番組の充実を図るとし,6月の番組改定期に合わせてDeutschlandradio Kulturの放送枠にもニュースや情報番組を編成するよう現場に指示した。また文化や政治番組担当の職員を,情報番組を含む新しい制作部署に異動させる可能性を示唆した。

DLRの職員らからは,ジャーナリストとしての専門性が発揮できなくなるなどと反発の声が上がり,4月1日,編集部局と執行部との間で話し合いが持たれたが,5月中旬をめどに,執行部が新たな提案を出すことになった。

一方で,DLRが既存の大ホールを放送センターの拠点として整備する計画について,1,500万ユーロ(約21億円)もの支出は,放送負担金の無駄遣いだという指摘もあり,DLRの動向に注目が集まっている。

熊谷 洋