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France2,夜の看板ニュース番組中断不定期労働者30人がスタジオに乱入

公共放送フランステレビジョンの総合チャンネルFrance2の夜のニュース番組“20Heures”(20時)の放送中,失業保険に不満を持つ労働者約30人がスタジオに乱入し,番組が中断されるという異例の事態が起きた。

“20Heures”は,ダヴィッド・ピュジャダス氏がキャスターを務める20時から20時半までの夜の看板番組で,4月7日月曜日もいつものように放送が始まったが,20時20分ごろニュースリポートが終わって画面がスタジオに戻った際,キャスターがプラカードを掲げた約30人に取り囲まれている状態だった。

乱入者は演劇やバレエなど舞台芸術の制作の現場で働く不定期労働者で,プラカードには「社会的権利なくして文化なし」などと書かれていた。乱入者らは用意したコミュニケをスタジオで読み上げ放送するよう要求したが,キャスターは「スタジオが占拠された。我々は放送を取り戻す。圧力のもとでは放送できない」と言い残してスタジオをあとにした。番組責任者は即座に番組の中断を決め,20時20分以降30分まで番組予告編などのVTRを放送し,乱入者らは20時30分過ぎにスタジオから立ち去った。

フランステレビジョンのフリムラン社長は,乱入を強く非難したうえで,なぜセキュリティーの裏をかかれて乱入を許したのかを調査するよう指示した。

フランスでは3月下旬,経営者団体と労働組合との間で失業保険制度の改定が合意されたが,不定期労働者らは支給額や支給の条件が厳しすぎると反発している。

新田哲郎