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カナダ公共放送CBC 大規模合理化策発表

カナダの公共放送CBC(カナダ放送協会)は4月10日,今後2年間で657人の要員を削減し,財政赤字を回避するため1億3,000万カナダドル(約121億円)の経費節減を行うと発表した。CBCは職員総数が約7,000人で,2012年度の年間収入はおよそ18億カナダドル(約1,674億円)だが,収入の64%を政府交付金に頼り,残りを広告収入や有料放送収入などで賄っている。

CBCは,政府の歳出削減策の一環として2012年に発表された交付金削減計画により,2014年度の交付金は2011年度比で1億1,500万カナダドル(約107億円)削減されることになっている。また,商業放送局に押されて視聴率も低迷していることから広告収入も伸び悩み,とりわけ2014年度以降は,カナダで人気の高い全米アイスホッケーリーグのカナダ国内での放送権を失ったことから,広告料が大きく減少すると予想されている。CBCでは,今後スポーツ中継についてはオリンピックなど大きなアマチュア競技に限ることとし,放送権の高騰するプロスポーツからは撤退すると発表した。また,ニュース番組や地域向け番組も削減し,経費のかかるリアリティーショーなどは廃止する。

政府資金を受けているCBCは,カナダの公用語法の規定により英語とフランス語の2 言語での放送を全国で行うことが義務づけられているほか,合計8つの先住民言語でも放送を行っている。こうした公共サービスを維持する意味から政府交付金の削減には反対の声もあるが,CBCの予算はここ数年縮小傾向にあり,大規模な要員削減も2009年と2012年に続いて3度目となっている。

斉藤正幸