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デジタル放送のリモート視聴時代本格スタート

3月25日,ソニーは2013年秋以降発売のブルーレイレコーダーをアップデートすることで,受信したテレビ番組や録画した番組をインターネット経由で外出先のモバイル端末で視聴できるようにすると発表した。こうしたリモート視聴は,ソフトバンクなど数社で既に商品化されているが,今回のソニーのレコーダーは,NexTV-F(次世代放送推進フォーラム)が2月に公表した「リモート視聴要件」を満たした国内初の仕様となる。今後,他社からも同様の機能を持つ製品の投入が見込まれ,これにより,デジタル放送の本格的なリモート視聴時代がスタートする。

「リモート視聴要件」では,テレビやレコーダー等の親機と紐づけ(ペアリング)できるモバイル端末は6台までで,ペアリングの有効期間は最大3か月,同時視聴できる端末は1台限りとされている。また地上デジタル放送は全局リモート視聴できるが,WOWOWなど一部の有料衛星放送のリアルタイム視聴はできず録画視聴のみである(3月20日現在)。ただし視聴機会拡大の観点から,今後対応する放送事業者が増える可能性はある。

また同要件には,「明らかにCMスキップを目的とした機能は設けられないことが望ましい」 という表現が盛り込まれており,放送事業者の既存のビジネスモデルへの配慮がうかがえる。一方,早送りや巻き戻しは認められており,ユー ザーへの配慮も同時になされている。

こうした中,果たして今後,リモート視聴は視聴率として換算されていくのか否か。行方を注視していきたい。

松本和也