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英BBC,若者向けTV チャンネル廃止へ

イギリスの公共放送BBCは3月6日,若い視聴者を対象としたテレビチャンネルのBBC Threeを2015年に廃止する計画を発表した。

BBC Threeは2001年に行われたデジタルテレビサービスの見直しの一環で新設されたもので,16歳から24歳までを対象とし,夜7時から翌日の朝7時まで放送を行っている。同じ周波数帯の空き時間帯では,就学児童向けテレビサービスのCBBCが提供されている。

BBCの歴史上,テレビチャンネルを減少させることは今回が初めてで,BBCはこの決断の理由について,各部門の均等削減による予算の維持ではなく,戦略的経費節減が必要だったと述べている。BBCの主要財源である受信許可料は2016年度まで据え置きされることになっている。これに加え,政府交付金で行ってきた国際放送を2014年度からは受信許可料で運営するよう変更されるが,そのコストは2億4,500万ポンド(約490億円)と見積もられている。一方,BBCの調査によると,16歳から24歳までの若者層のテレビ番組視聴について,今後数年間でオンラインによる見逃しサービスの利用や放送受信機以外での視聴が40%に増大すると予測され,BBC Threeの視聴者層の“放送”離れが顕著になるという。

BBCによると,BBC Threeの廃止によって年間5,000万ポンド(約100億円)の経費節減となり,そのうち3,000万ポンドをドラマ制作に割り当てること,BBC Threeをオンラインサービスへ刷新し,iPlayer上での若者サービスを改革すること,空いた時間帯でCBBCの放送時間を1時間延ばすほか,BBC Oneの補完チャンネルを設けることが計画されている。

中村美子