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岐阜エフエムが放送事業を新会社に譲渡

総務省は債務超過で経営難に陥っていた岐阜エフエムの放送事業譲渡に伴う免許の承継を14年2月24日,許可した。3月1日付で引き継いだのは新会社の「エフエム岐阜」で,キー局のエフエム東京やエフエム愛知などの系列局とその関連会社が出資している。

00年に設立された岐阜エフエムは岐阜県域のFM局で,中日新聞や岐阜新聞,岐阜県などが出資していた。同県は山岳地帯が多く,中継局などの初期投資がかさみ,03年から債務超過となり,13年3月期には債務超過額が3億円を超えていた。さらに,主要株主の中日新聞,岐阜新聞がそれぞれ,当時のマスメディア集中排除原則に抵触していることが発覚し,総務省から05年に行政指導も受けていた。こうした経緯もあり,11年3月に集中排除原則が緩和されるまで,放送免許の更新は一時的に1年ごととなっていた。

その一方で,13年3月期まで5期連続で単年度黒字を確保していたため,エフエム東京やエフエム愛知,それにJFN(ジャパンエフエムネットワーク)などが「事業の継続は可能」と判断し,受け皿となる新会社を13年8月に設立し,放送事業承継の準備を進めていた。旧会社の事務所やスタジオ,従業員は新会社が引き継いだ。新会社では今後,第三者割当増を実施し,岐阜県内の企業の出資比率を50%以上に引き上げたいとしている。

総務省によると,県域FM局で放送免許承継の許可を得ての事業譲渡は,兵庫県のKiss-FM KOBEと福岡県のCROSS FMに次いで3局目だという。

関谷道雄