メディアフォーカス

字幕CM普及へ 総務省で検討会が発足

民放のテレビCMに字幕を普及させようと総務省で検討会が発足し,2014年1月30日,初会合が開かれた。

総務省によると,クローズドキャプションと呼ばれるリモコン操作で表示できる字幕付きの番組の実施率は2012年度にはNHK総合で83.5%,在京キー局5局の平均で93.3%となっている。その一方で民放のテレビ放送のCMでは,スポンサー数社による試行以外,字幕はほとんど実施されていない。

こうしたことから聴覚障害者や難聴の高齢者などを念頭に民放の総放送時間の20%弱を占めるテレビのCMに字幕を付けて,情報格差を是正しようと検討会が発足した。

初会合では,2011年から試行を実施している花王の字幕付きCMが上映され,「CMは全くわかりませんでしたが,あー,こう言っていたんだ。本当に感動しました」などの反響が同社に寄せられていることが紹介された。また,字幕付きCMが聴覚障害者や難聴の高齢者への訴求効果だけでなく,電車や病院など,音が出しにくい場所でも広告効果が期待できることが報告された。

字幕付きCMは,スポンサー,視聴者に知られていないほか,放送局側の送出機器も局によって未整備などの理由で普及が進んでいないとされている。

検討会では,字幕付きCMと外国人を対象にした多言語字幕の普及の2本立てで,半年間かけて技術面や運用面などでの課題解決へ具体的な方策を練り,2014年6月に取りまとめを公表することにしている。

関谷道雄