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NHK ハイブリッドキャストのサービス開発大臣認可で本格スタート

ハイブリッドキャストは日本の成長戦略を担う放送・通信融合サービスとして,現在オールジャパンでの推進体制が組まれている。NHKは各局に先駆け,2013年9月から「NHK Hybridcast」を開始させ,第1段階としてデータ放送コンテンツを活用したサービスを提供してきた。

更にNHKは,より魅力あるサービスの開発や視聴者ニーズ把握のため,総務大臣に新サービスの認可申請を行い,11月20日に認められた。NHKは放送法でネットサービスが限定されているが,この認可により,2014年度末まで,インターネットを活用した時差再生やマルチビュー,動画クリップ配信等が可能となった。

しかし,対応テレビの普及を進めるためにも,視聴者がどこまで,またどんな放送・通信融合サービスを望んでいるのかを見極めるためにも,NHK 以外の多くの放送局による新サービスが早期に視聴者に提供されることが望ましい。民放各局は2013年度中に総務省の実証実験の枠組みで何らかの実験を計画しているが,ビジネスモデルがイメージできない中での本格参入は難しいとの雰囲気が漂い続けているという。またNHKの認可申請に伴い行われた意見募集においても,民放や民放連からは,時差再生サービスの恒常化に反対する意見や,新サービスが今後NHKのネット同時配信につながることを懸念する声が寄せられた。

技術仕様が先行して決定し,ようやくサービス開発と視聴者ニーズ把握という段階にきたハイブリッドキャスト。並行してビジネスモデルのあり方について議論を進められるかどうかが今問われている。

村上圭子