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BPO放送人権委が朝日放送に「放送倫理上重大な問題」と勧告

2011年の大阪市長選挙をめぐって,大阪市交通局の労働組合が当時の現職市長を支援しなければ不利益があると職員を脅すように指示した疑いがあると朝日放送が報じたことについて,BPO放送人権委員会は2013年10月1日,「主要な部分において真実ではなく,放送倫理上,重大な問題がある」として再発防止に努めるよう勧告した。

朝日放送は2012年2月のニュースで,2011年の大阪市長選挙で大阪市交通局の労働組合が「『現職市長の支援に協力しなければ,不利益がある』と,職員を脅すように指示していた疑いが,独自の取材で明らかになりました」と報じた。これに対して,労働組合側が「社会的信用や名誉を大きく傷つけられた」などとして,同委員会に申し立てていた。

同委員会はニュース内容を審理した結果,主要な部分において真実ではなく,朝日放送がニュースで取り上げた労働組合側が職員を脅すように指示したとされる文面は,ねつ造されたものだった。また,報道にあたって,申立人に対する取材も行っていなかった,などと指摘。さらに「放送倫理上の重大な問題がある」とした上で,事実を客観的かつ正確,公平に伝えることを定めた放送倫理基本綱領に「違背」していると結論づけ,再発防止に努めるよう「勧告」した。「勧告」は同委員会が示す判断で最も重い。

「勧告」について朝日放送は「決定内容を真摯に受け止め,今後の報道にいかしてまいります」というコメントを出した。

関谷道雄