メディアフォーカス

英BBC会長,新サービス計画を公表~iPlayerは視聴者への窓口~

イギリスの公共放送BBCのトニー・ホール会長は10月8日,ロンドンの新放送会館で職員および関係者に向けてBBCの将来ビジョンと新サービス計画について講演を行った。ホール会長は,BBCの中核的役割は“すべての人に最善をもたらすこと”であるとその役割の普遍性を強調したうえで,放送100年を迎える2020年には技術革新で可能になるサービスの提供方法によって,視聴者とBBCの関係は“私のBBC”あるいは“われわれのBBC”と考えるような双方向なものになると述べ,国内・国際の包括的な新サービス計画を明らかにした。

新サービスの中心はオンラインサービスBBC iPlayerの刷新である。現在では視聴者の半数近くが利用しているオンデマンドサービスiPlayerをBBCへの視聴者の窓口であると位置づけ,これまで放送後7日間の見逃しサービスから30日間へ延長,iPlayer上でのラジオ番組(インタビューや討論など)の動画配信を行うオンラインチャンネルの新設などの新サービスを提案し,iPlayerを“オンラインTV”に変革する考えを示した。一方,ホール会長は通常のテレビ放送チャンネルがなくなるわけではないと述べ,従来のテレビ放送は「くつろぎを与える家族視聴」の方法であるとし,看板チャンネルのBBC ONEの時差放送チャンネルBBC ONE+を新設し,視聴者のテレビ番組への出会いの機会を増やす計画も明らかにした。

この計画の一部は,BBCトラストによる公共的価値の審査が条件づけられているが,執行部としては2014年の上半期にiPlayerの次世代版へ移行したい考えである。

中村美子