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BPOの放送倫理委・人権委 2局のニュース番組で判断

関西テレビのニュース番組が情報提供者の代わりに別人の映像を放送した問題で,BPOの放送倫理検証委員会は2013年8月2日,「放送倫理に違反する」という意見書を公表した。これは同社の『スーパーニュースアンカー』が2012年11月30日に放送した大阪市職員の兼業疑惑の企画で,情報提供者が「身元がわかってしまう」と映像の撮影を拒否し,同社側が代わりにスタッフの姿を撮影し,モザイク加工して放送したもの。音声は情報提供者の声を加工して放送した。3か月以上後になって新聞報道で事実が発覚した。同委は①社内でのチェックが機能せず問題のインタビュー映像を放送してしまったこと,②問題発覚後これを視聴者に伝えない決定をしたこと,の2点について,「放送倫理に違反する」と判断した。

一方,BPOの放送人権委員会は2013年8月9日,フジテレビが2012年7月に放送した『スーパーニュース』で,大津市の中学生いじめ自殺事件の加害者として民事訴訟を起こされた少年の実名がモザイク処理なしで放送され,静止画像が第三者によりインターネットに流出した問題で見解を発表。「テレビ映像に限れば,プライバシー侵害は生じていない。しかし(中略),静止画像にすれば氏名が判読できる映像を放送した点で,本件放送は人権への適切な配慮を欠き,放送倫理上問題がある」と結論づけた。そのうえで「二次的な使用の可能性を想定して日常的に業務することが今日,放送局に求められている」と指摘した。第三者によってネット上に流出した静止画像で同委員会が判断を示したのはこれが初めて。 

関谷道雄