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気象庁「特別警報」を8月30日から運用へ

気象庁は,警報よりさらに強力に重大災害の危機感をアピールする特別警報を2013年8月30日から運用すると発表した(6月20日長官会見)。

特別警報を新設することになったのは,2011年の台風12号や2012年の九州北部豪雨,東日本大震災で,重大災害の危機感と切迫感を十分に伝えきれず,住民の避難を必ずしも的確に促すことができなかった事情による。

警報よりランクが上の特別警報が新設されるのは,大雨,暴風,高潮,波浪,大雪,暴風雪の6種類である。通常の警報のレベルを超え,数十年に一度という激しい気象現象が特定の地域で予想される場合に,市町村ごとに発表される。

この他,既存の大津波警報と火山の噴火警報(居住地域),緊急地震速報(震度6弱以上)も特別警報と位置づけられる。

特別警報の伝達を確実にするため,都道府県に対して市町村への通知を,市町村には住民などへの周知を義務付ける。

気象庁では,運用開始までに自治体と協議して新設する特別警報の発表基準を決め,自治体や放送メディアなどへの電文の配信試験を実施することにしている。

特別警報が出されるからと言って,通常の警報が示す危険度が減る訳では決してない。「特別警報が発表されていないので,まだ大丈夫」と避難の足を鈍らせることがないよう,注意が必要である。また,特に豪雨の場合には,現行の大雨警報に加え,洪水警報,土砂災害警戒情報,記録的な大雨に関する気象情報など情報が多岐にわたる。特別警報の位置づけを分かりやすく整理して伝え,的確な避難へとつなげてゆくことが課題となる。

福長秀彦