メディアフォーカス

仏政府,インターネット接続の端末に視聴覚文化支援目的の新税導入の構想

フランス政府は,自国の視聴覚文化の保護と創作支援を目的に,インターネットに接続された全ての端末の売り上げに1%の税を課す新税導入の構想を明らかにした。

「創作負担税」(contribution créative)と名付けられたこの新税の構想は,フランスの大手商業テレビ局Canal+(カナルプリュス)の元最高経営責任者ピエール・レスキュール氏らが政府の委託を受けてまとめ,5月13日,政府に提出した報告書の中に盛り込まれた。報告書によると課税の対象となるのは,スマートフォン,タブレット型端末,パソコン,コネクテッドテレビ,それにゲームコンソールなど,インターネットに接続して動画や音楽などを受信できる全ての端末としている。新税の税率は,これらの機器の売り上げの1%で,年間8,600万ユーロ(約110億円)の税収が見込まれるという。報告書は将来,税率を3%まで引き上げることも視野に入れるとしている。

この新税の税収は,自国の視聴覚産業の保護と支援に充てられると言う。フランスは多角的貿易交渉などを通じて「文化は例外」との立場から,自国文化を保護する政策をとり続け,放送の分野では外国製映画やドラマの放送規制などを行ってきた。今回の新税の導入について,報告書では,放送と通信の融合時代に即した「文化は例外」政策の新たな展開だと位置づけている。報告書はこのほか,VOD,ビデオオンデマンドによる視聴が増えるなかで,できるだけ早く無料配信できるよう,現在,3年程度の視聴覚作品の著作権の期限をより短縮すべきだと提案している。

新田哲郎