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BPO放送倫理検証委の委員 半分が交代

BPO放送倫理検証委員会の5委員が2013年3月末に退任し,新委員が4月1日付で就任した。いずれも任期終了に伴うものだが,半分が入れ替わったのは同委員会設立以来初めて。

放送倫理検証委員会は放送倫理を高め,放送番組の質向上を目的に放送番組委員会が2007年5月に発展的に解散して,設立された。今回退任したのは作家の吉岡忍,東北学院大学大学院教授で弁護士の石井彦壽,作家の重松清,評論家の立花隆,立教大学教授の服部孝章の各氏で,重松氏以外は発足時からのメンバーだった。このうち,吉岡氏は放送番組委員会からの委員で委員長代行も務め,9年間にわたって放送界を見守り続けた。

吉岡氏は退任に際し「いろいろ不祥事はあったが放送業界がダメだという印象は持っていない。問題を起こした各局からの報告は的確なものだったし,第三者機関である委員会と放送局とのオープンな検証のしくみは,世界的に見ても例がない貴重なものだと思う」と振り返った。その一方で,服部氏は「相当ひどいことになっているというのが実感」と現状への失望感をあらわにした。

この他の各氏のメッセージもBPOのホームページに掲載されているが,期待,あるいは警鐘を放送界全体が真摯に受け止め,番組作りに反映させることが今後も求められている。

なお,新委員には▽科学ジャーナリストの小出五郎,▽ジャーナリストの斎藤貴男,▽立教大学大学院教授の渋谷秀樹,▽弁護士の升味佐江子,▽作家の森まゆみの各氏が就任した。

関谷道雄