メディアフォーカス

独ARD とZDF,専門チャンネル見直しで意見分かれる

ドイツの公共放送ARDとZDFの間で,両局の専門チャンネルの今後のあり方について,意見の食い違いがあらわになった。

ARDとZDF が現在,それぞれ3つ提供しているニュース,娯楽,生活情報などの専門チャンネルは,もともと放送のデジタル化の推進役として1997年に始まった。しかし,デジタル移行も完了し,また今後の財源拡大も困難と見込まれる中,近年,これらのチャンネルの削減や再編を求める声が有力な政治家などから上がり,公共放送も検討を進めていた。

見直しの手始めとしてARDは2012年11月,ARDとZDFの専門チャンネル各1つを合併させ,10~20代の若者を対象にした共同制作チャンネルに転換するという提案を行った。ZDFは,これに基本的には賛同するとしながらも,実現は財源確保のめどがつく2017年までは難しいと慎重な姿勢を示していた。

ARD会長は4月15日,さらに踏み込んで,ARDとZDFがそれぞれ提供している30~40代向け娯楽チャンネルとニュースチャンネルについても各々合併させ,共同制作にしてはどうかとの提案を行った。しかしZDF側は,30~40代向けおよびニュースチャンネルはZDFのサービス戦略上重要な位置を占めている上,そのような合併がコスト削減につながるとは限らないとして拒否する姿勢を示した。

放送政策の決定権限を持つ州政府側の代表は,公共放送の側から財源を効率的に使おうとする提案が出てきたことは歓迎できるとし,両局の合意が早めに行われることを期待すると述べた。

杉内有介