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“地上波の公共性について自覚を”東海テレビのドラマでBPOが委員長談話

「性的描写が過激だ」と指摘されていた東海テレビのドラマについてBPOは2013年3月4日,地上波の持つ公共性を自覚するよう促す青少年委員会の委員長談話を発表した。

名古屋市に本社を置く東海テレビは2012年11月から12月にかけて,ドラマ『幸せの時間』をフジテレビ系列で全国放送した。視聴者からは「昼間の番組にもかかわらず,性的描写が過激だ」などの意見が東海テレビやBPOに多数寄せられ,BPO青少年委員会では審議の対象としていた。

同社では当初,「放送基準に沿ったもの」としていたが,青少年委員会が「一定の基準を逸脱した表現を行うことは(中略),ともすれば,視聴者を愚弄していると受けとめられる危険性がある」と見解を公表後,行き過ぎた性的描写があったことを認めた。そして,BPO青少年委員会の汐見稔幸委員長は3月4日,「今回の事例で最も重視した論点は,テレビというメディアの持つ公共的責任(中略)。このことは今後,各局とも強く自覚していただきたい」という談話を発表し,地上波の持つ公共性を自覚するよう促した。BPOによると青少年委員会の委員長談話が出されるのは今回が初めて。

これを受け同社は,お詫びを公表するとともに関係者を処分した。同社は2011年8月に情報番組で岩手県産のコメに関連して「怪しいお米」などと不適切なテロップを流し,番組が打ち切りとなっている。再発防止策としてコンプライアンス部門を拡充するなど,信頼回復を図っていた矢先だっただけに,今後の取り組みが注目される。

関谷道雄