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韓国,新政権が独立規制機関の機能縮小へ

韓国では2月25日,パク・クネ(朴槿惠)新政権が発足したが,新政権が進める行政機構改革により,これまで放送通信行政を担ってきた放送通信委員会(KCC)の規模や機能が大幅に縮小される可能性が高まっている。

イ・ミョンバク(李明博)政権から政務の引き継ぎを受けるために発足した「大統領職引き継ぎ委員会」は,新政権発足前の1月22日,放送政策における規制と産業振興の機能を分離し,規制機能をKCCに残す一方,放送通信産業の振興機能は,新政権が科学技術やICT(情報通信技術)関連業務を担うために新たに設立した官庁の「未来創造科学部」に移すと発表した。これによって,KCCが所管する主な業務は,放送の許認可や放送通信事業者の禁止行為の調査や制裁などに限定されることになる。

しかし国会では,この問題で与野党の協議が難航し,政府組織の関連法が成立しておらず,新政権発足の時点においても,KCCの一部の部署が未来創造科学部に移管されるのか定まらないという異例の事態となっている。

与野党対立の根底には,放送政策に対する見方の違いが存在する。与党セヌリ党はICTを統括する未来創造科学部に放送政策のうち産業振興的な機能を全面移管したい考えである。一方,野党民主統合党は,長官(大臣に相当)1人の指揮下に置かれた未来創造科学部にKCCの権限を移管し,大統領直属とはいえ合議制の組織であるKCCの機能を縮小することは,新政権による放送のコントロールを容易にするとして反対している。今後,与野党の妥協点をどう見出すのか,パク新政権は,放送行政に関しては多難な船出となった。

田中則広