メディアフォーカス

仏,新規地デジ6チャンネル放送開始

地上テレビの放送方式がアナログからデジタルに切り替わって1年がたったフランスでは2012年12月,新たに6つの地上デジタルチャンネルが放送を開始した。

独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)は,完全デジタル化直前の2011年10月,無料の全国放送でHD化された高画質であることを条件に,新たな地上デジタルチャンネルの免許公募を開始し,30を超える事業者が応募した。審査の結果,CSAは「チャンネルのアイデンティティーと持続性を保証する経済基盤などを考慮した」として2012年7月,6つの事業者を選び放送免許を付与した。

新規地デジチャンネルは,いずれも専門チャンネルで,既存の商業放送大手のTF1系列のHD1(フィクション),M6系列の6Ters(家庭),このほか新興事業者などによるRMC Découverte(ドキュメンタリー),L' Équipe 21(スポーツニュース),Numéro 23(多様性),Chérie 25(女性)の各チャンネルである。これらのチャンネルは12月12日,一斉に放送を開始したが,初日の視聴シェアは,まだ認知度が低いためか6チャンネル合わせて1.4%に留まった。

これによって広告収入を主な収入源とする無料の地上デジタル全国放送は合わせて25チャンネルに増え,経済の停滞が続くなかで,厳しい競争時代を迎えることになった。

CSAは,いまだHD化されていない既存の地デジチャンネルに対して,新規チャンネルと同じように,2015年中にHD化を完了し,2016年1月にはすべての地デジチャンネルがHD放送となるよう求めている。

新田哲郎