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CATV最大手J:COMの株式 KDDIと住友商事が公開買い付けへ

KDDIと住友商事がCATV業界最大手のジュピターテレコム社(J:COM)の株式について,13年2月上旬までに公開買い付けを開始し,新会社を両社で共同運営する予定であると2012年10月24日に発表した。

J:COMの有料CATV加入世帯数は307万(12年3月)でCATV業界最大手である。J:COMの株式は議決権ベースで住友商事が40.47%,KDDIが31.08%を保有しており,2大株主が残りの28.45%の株を公開買い付けで取得(最大2,160億円)する。KDDIと住友商事は議決権ベースで各50%を保有する新J:COMを共同経営することで合意している。

CATV業界第2位であるジャパンケーブルネット(JCN)は株式の95.6%をKDDIが保有しており,J:COM買収後はKDDIと住友商事が設立する新J:COMが13年秋を目途にJCNを買収する予定である。これにより,CATV業界上位2社が統合され,有料多チャンネル業界で契約世帯数トップの「スカパー!」(381万・12年3月)を抜くことになる。

CATV業界は,衛星多チャンネル放送の増加,通信事業者の光ファイバーを利用したコンテンツ配信,インターネットによる多様なサービスの拡大などで競争が激しくなり,コスト削減をしなければ,生き残りが厳しい状況となっている。

KDDIと住友商事は影響下にあるCATV大手2社の統合を進めることによって,契約世帯を増やすとともに,コンテンツの調達費用を下げる。また,CATV2社が別々に整備してきたネットワーク網を共通にして運営経費を抑えるという。

奥田良胤