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スウェーデン公共サービス委員会,受信料制度変更を提案

スウェーデンの公共サービス委員会は9月11日,公共放送の将来に関する報告書を政府に提出し,テレビ受信機の所有をもとに世帯単位で徴収される受信料制度から,所得に応じた累進課税式で料金を定め,個人から徴収する制度に変更すべきであると提案した。

スウェーデンには,SVT(テレビ),SR(ラジオ),UR(教育番組制作)の3つの公共放送が存在し,それぞれ政府と結ぶ「放送特許状」をもとに受信料で運営されている。この特許状更新を前に,政府は2011年6月に放送を所管する文化・スポーツ省のレーナ・アーデルソン・リルリローツ相を委員長とした委員会を設置し,ラジオとテレビの公共サービスとしての条件を分析し,次期特許状に必要な変更を提案するように付託した。検討範囲は,公共放送の任務,資金調達,規制・監督,デジタル化など幅広く,報告書は465頁におよぶものとなった。

委員会の提案の中で最も注目される提案は,受信料制度の変更である。現行の受信料制度がかかえる不払い問題(年間12%)等の制度上の欠陥を補い,公平かつ効率的な徴収方法を導入するとして,テレビ受信機所有世帯からの一律料金徴収から,所得をもとに計算されたラジオとテレビ受信料とし,税務署による徴収へ変更することを提案した。これまで支払い義務がかせられた企業・法人や18歳以下の若者からは徴収しない。

また,公共放送の独立を守るために受信料は国庫に納めず,国の年間予算と切り離し,国会が複数年で公共放送資金の割当総額を決定することや政府から独立した機関が公共放送への資金の割当てを行うことを提案している。

中村美子