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韓国,MBCストで政界にも経営陣批判

韓国の地上放送局大手MBCでは,労働組合が社長の退陣などを求めてストライキを続けているが,会社側が関係者の解雇など強硬な対応を崩さない中で,野党をはじめ政界にも経営陣への批判が高まっている。

このストライキは,現政権から送り込まれた社長の下で報道内容が政権寄りになったとして,記者とカメラマン,それにディレクターの大多数が参加して2012年1月から始まったもので,会社側は4月以降,ストを主導したとして労組の委員長や事務局長を相次いで解雇,現社長の下でストによる懲戒処分を受けた人数は,解雇8人を含む117人に達した。

こうした中,野党の民主統合党は6月18日,イ・へチャン(李海瓚)代表などが出席して,MBC本社前で「社長退陣国民署名運動本部発足式」を開催,この中でイ代表は,MBC社長が自ら退陣しないのであれば,党として全国規模で署名運動を展開し,国民の力で退陣に追い込むと宣言した。また,同じ日には与党セヌリ党の一部の議員も,大統領に近い人物が放送局の社長に天下りするのを防ぐことなどを盛り込んだ法律の改正案を国会に提出,現在の経営陣への批判は党派を超えた広がりを見せつつある。

6月末時点でストライキ突入から153日となるMBCの事態をこれ以上傍観できないとの考えが広がっている上,8月にはMBCの大株主で社長選任の権限を持つ放送文化振興会の理事が任期満了となることから,MBCの社長が「天下り」で選出される問題をこの機会に解決すべきとの考えが与野党の共通認識となりつつあることが,一連の批判の背景にあると指摘されている。

田中則広