中国,アルジャジーラ記者を事実上「追放」
カタールに本拠を置く国際的衛星ニュース局のアルジャジーラは5月8日,北京に駐在していたメリッサ・チャン(Melissa Chan)記者が外国人記者証の更新を拒まれ,英語放送の北京支局を当面閉鎖することを明らかにした。中国駐在の外国人記者が事実上の追放処分に遭うのは1998年以来のことである。
チャン記者は香港生まれのアメリカ国籍で,5年前からアルジャジーラ・イングリッシュの中国駐在記者として活動してきた。しかし,中国外務省は2012年1月,外国人記者証の更新にあたって,通常は1年間有効なものを2か月有効と期間を短縮して発行,その後は1か月の延長を認めていた。
今回記者証の更新が認められなかったことについて中国外務省は,「全ての関係者は中国の法律と規制に従い,職業倫理を守らなければいけない」と述べたが,チャン氏のどういった行為が中国の法律に違反したのかについては触れていない。一方,中国駐在の外国メディア関係者で作るFCCC(中国外国人記者クラブ)では,アルジャジーラが2011年11月に放送した,中国の政治犯や宗教家への当局の弾圧を描くドキュメンタリー『奴隷制~21世紀の悪~』に怒った中国政府の報復行為と見ており,「チャン氏はこの番組の制作には関与していない」と中国政府を批判している。
FCCCによると,過去2年間で外国人記者証の交付・更新を4か月以上遅らされたケースは27件にのぼり,このうちの6件では,本人もしくは本人の所属するメディアのこれまでの中国報道に問題があると伝えられたという。
アルジャジーラのアラビア語放送の支局は従来どおり運営されている。