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“つぶやくより入稿が最優先”~英BBC,Twitterガイドライン改定の波紋~

イギリスの公共放送BBCの公式ブログとオンライン・ニュースでTwitterガイドラインの改定が明らかにされ,波紋を呼んでいる。

BBCのソーシャル・メディア担当責任者のクリス・ハミルトン氏は2月8日付のBBCエディターズ・ブログで,「ニュースの特ダネは,編集システムに最優先で入稿すること。Twitterでつぶやく後ではない」と,すべてのジャーナリストに伝えられたことを報じた。同日,技術担当記者のローリー・セラン・ジョーンズ氏もオンライン・ニュース記事のなかで,上司から同様の指示があったことを明らかにした。セラン・ジョーンズ記者によれば,BBCはTwitterの利用に神経質だったが,放送事業者にとって貴重な道具になるという結論に達していたという。確かにBBCは,2009年10月に公式ブログを開設し,2010年2月に報道現場に対してブログやTwitterなどソーシャル・メディアを積極的に利用することを指示した。そして,「技術がジャーナリズムを変えている。BBCにとって,番組ベースの考え方を捨て去り,新しい技術を採用することが重要だ」と,その方針を示していた。

この方針の後退とも受け止められるBBCの改定発表の前日には,24時間ニュースチャンネルのSky Newsも自社ジャーナリストのツィートを制限することを明らかにした。BBCとSkyというイギリス国内の2大ニュース提供者によるTwitter規制の背景には,企業ブランドの維持や品質管理という問題もあるようだが,ニュースの情報源としてのTwitterの有用性が低下するのではと,危惧する見方も出ている。

中村美子