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仏ラジオ国際放送,テレビとの合併承認

フランスの公共放送の1つで, ラジオ国際放送を行っているRFI(Radio France Internationale)は2月13日,経営委員会の臨時総会を開き,テレビ国際放送「フランス24」との合併を承認した。

フランスの国際放送は,政府が100%出資するAEF(フランス海外放送会社)が統括し,公共放送負担税と広告収入などで運営されている。国際放送のテレビとラジオの合併は,サルコジ政権の既定の路線で,2011年12月に組織の統合が予定されていたが,RFIの労働組合の抵抗もあって遅れていた。

合併が承認されたことについてAEFは,声明のなかで「これによってより国際的な広がりのある放送グループが創造される」としている。

当初の計画では,RFIとフランス24は2012年夏頃までに同じ建物に入り,ニュースの制作作業などを一本化することで,合理化を進めることになっている。AEFのプージアック社長は,「1つの会社となることによって,フランスの価値観を統一された編集方針で,様々な媒体に発信できる」と話している。

これに対してRFIの労働組合は,「合併によってラジオ国際放送の編集権が失われ,ラジオの死につながる」としてなお合併に反対している。合併反対の嘆願書には,4月22日に投票が行われるフランスの大統領選挙で,現職のサルコジ大統領に挑戦する社会党の有力候補オランド氏も署名しており,大統領選挙の結果によっては,合併の行方に影響を及ぼす可能性がある。

新田哲郎