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フランス,地上デジタル化完了

フランスでは2011年11月29日,地中海に面したラングドック・ルション地域圏と西インド諸島にある海外県のグアドループなどでの作業を最後にアナログ放送が終了し,翌30日全土で地上デジタル放送に切り替わった。

フランスでは2005年3月に地上デジタル放送が開始され,2011年11月末現在,全国放送は無料が19チャンネル,有料が10チャンネル,HD(高画質)放送が5チャンネル,ローカル放送が45チャンネルに増えている。

こうしたなかで,放送免許の付与権限を持つ独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)は10月,無料の全国放送でHD放送であることを条件に新たに6チャンネルの免許公募を開始すると発表し,2012 年秋の放送開始を目標に免許付与に向けたプロセスが始まっている。

一方で放送業界にも大きな変化が起きている。地上デジタル全国無料放送のTMCとNT1の2チャンネルは,2010年6月に商業放送最大手のTF1によって買収されたが,これに対抗して有料放送がメインのCanal+(カナルプリュス)は2011年12月2日,同じく地デジ全国無料放送のDirect 8 とDirect Starの2チャンネルの買収を完了したと発表した。広告を主な財源基盤とする無料放送の分野にも参入する同社の経営戦略が明らかとなった。

これによって地上デジタルの無料の全国放送は,公共放送フランステレビジョンが6チャンネル,Canal+グループが4チャンネル,TF1グループが3チャンネル,M6グループが2チャンネル,これらに属さない独立系が3チャンネルとなっていて,広告収入シェア争いが一段と激化している。

新田哲郎