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NHKオンデマンド 利用料金や配信期間の変更可能に

総務省は2011年11月25日,NHKから申請があった「NHKオンデマンド」などインターネットを利用した動画サービスについて,柔軟な料金設定を可能にしたり,見逃し番組の放送後の配信期間を延長したりすることなどを「適当」と認め,意見募集の結果を踏まえて,早ければ12年1月の電波監理審議会に諮問することになった。

NHKの申請の主な内容は以下の通りである。

・受信料を財源とするものについては,
東日本大震災の教訓などを踏まえ,放送後1か月程度を基本としている提供期間の例外として,「防災に役立つもの」を追加する。

・受信料を財源としない「番組アーカイブ業務」については,
「見逃し番組サービス」の配信期間を現行の放送後1週間程度から1~3週間程度に延長し,NHKのホームページで明示する。

サービスの提供は,NHKが直接提供する形態に加えて,プラットフォーム事業者による提供を例外とはせず範囲を拡大する。

対象となる視聴端末については,スマートフォンなど利用端末の多様化を踏まえて拡大し,NHKのホームページで明示する。

利用料金については,複数年度の事業期間で収支が相償するものとしている「中心料金」の概念を廃止し,番組の長さ,市場性を考慮したランク,画質に応じて料金表をつくるが,他の事業者の平均的な料金水準に比べて不当に低くならない方針は継続する。

個々のパック料金については,現行基準の割引率30%の上限を廃止し,料金表に定める割引率上限の範囲内でその都度設定する。

「番組アーカイブ業務」サービスの利用促進のために,利用者間およびプラットフォーム事業者間の公平を不当にゆがめないことなどを条件に,利用料金を一時的に減額または無料とすることができるようにし,また,サービスの一部を割引料金または無料で利用したり,させたりする権利を付与することを可能にする。

「番組アーカイブ業務」は,単年度または複数年度の計画期間において収支相償する事業計画を策定する。「番組アーカイブ業務」勘定において繰越欠損金が解消したときは,その後の利用料金の考え方をあらためて検討し基準の見直しなどを行うが,2013年度末において単年度の事業収支差益が発生せず,繰越欠損金が解消されないときは,業務の継続について検討する。

NHKの10年度決算によれば,「番組アーカイブ業務」勘定は,視聴料金の収入は前年度に比して2倍になったが予算額の50%以下で,18億円の赤字決算となっている。

総務省はNHK の申請内容について,

・利用者の利益が確保されているか,

・公共放送の業務として適正か,

・受信料を財源とする業務範囲が適正か,
の3点から審査し,「適当」であると認めた。

しかし,利用料金の割引率の上限廃止に関しては,運用にあたって,「外部事業者から寄せられた意見・苦情等については外部委員を含む審査委員会において,同業務の適正性の確保の観点から検討を行い,必要な措置を講じる」など,適切な対応が必要だとの注文をつけている。

奥田良胤