メディアフォーカス

制作現場にゆとりの確保が必要BPO,不祥事再発防止で異例の提言

東海テレビの情報番組『ぴーかんテレビ』でプレゼントの当選者欄に不適切表示が放送された問題(本誌2011年10月号「メディア・フォーカス」参照)に関連して,放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は2011年9月22日,同様の事態は他の放送局でも起こりうるとして,不祥事の再発防止のため異例の提言をした。

東海テレビは,番組スタッフは82%が外部スタッフで経験の浅い人が多かった,人数がぎりぎりで多忙をきわめスタッフ間のコミュニケーションが不足しチェックが疎かになった,余裕のない制作環境は効率化を求める経営計画によるものだった,などが不祥事の原因だったとしている。

同委員会が憂慮したのは,効率化によって制作現場にゆとりがなくなり,コスト削減で経験の浅い外部スタッフに多くを頼らざるをえない現状で,最近他局でも同様の理由で不祥事が起きており,以下の4項目を提言した。

・ 全社的なレベルで放送の使命について話し合う機会を設ける

・ 必要な人員と時間が確保される環境で制作されているかどうかを再点検する

・ スタッフ間で忌憚のない意見交換や問題提起が行われるような職場環境を整える

・ 現場のスタッフ研修が,放送局所属か制作会社所属かフリーかを問わず,納得できる方法で実施されているかどうかを再検討し,実りある研修を継続する

同委員会は,再発防止に向けて各放送局の真摯な取り組みを要請した。

奥田良胤