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仏CSA報告書「地デジの将来像」発表 最先端方式導入でHD化を提示

フランスの独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)は,地上デジタル放送に最先端の映像・音声圧縮規格と伝送方式を導入し,5年後をめどにすべてのチャンネルの高画質化をめざす方針を明らかにした。

フランスでは2005年3月に地上デジタル放送が開始され,2011年11月末に完全デジタル化される予定で,9月末現在,地デジの全国放送は,無料が18チャンネル(この内,5チャンネルがHDも同時放送),有料が10 チャンネルある。CSAは今年5月,フィヨン首相の要請を受けて地デジの将来像について検討を始め,9月12日「地上デジタルテレビジョンの将来」と題する報告書を発表した。

それによると,映像・音声の信号の圧縮規格については,MPEG2規格から,より高性能のMPEG4にすべてのチャンネルで転換し,これに合わせて伝送方式も,現在のDVB-T方式から最先端のDVB-T2に変えるべきだとしている。これによってより多くのHD放送を同じ周波数帯域にのせることができることから,地上デジタルのすべてのチャンネルを高画質のHD化することをめざすとしている。

ただし,この転換のためには,送り手側には新方式への設備切り替えが,また受け手側には,新たな受像機またはセットトップボックスの買い替えが必要で,転換の時期についてCSAは,地デジ放送開始から10年の2015年から,サッカーのヨーロッパチャンピオンズリーグがフランスで開催され,買い替え需要が期待される2016年頃にかけてと提示している。

新田哲郎