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電通とJ:COMがVODでの新たな広告モデル「CM割」開始

電通とケーブルテレビ最大手ジュピターテレコム(J:COM)は,J:COMが提供するVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス「J:COMオンデマンド」上で,新たに開発した広告モデル「CM割」の試験的な運用を開始した。

「CM割」は,番組視聴前に,あらかじめ用意されたCMの中から見たいCMを1つ選んで視聴することで番組視聴料金が105円(税込)割引になるサービスで,第一弾として,TBSが過去に放送したドラマなど16タイトルで始めた。J:COMはこの仕組みを導入することで,VODの利用を高めたい考え。

このモデルでは,視聴者が興味のあるCMを選んで視聴することで,CMへの好意・共感を醸成しやすい環境を実現できるとしている。従来の15秒や30秒等の限られた秒数ではなく,60秒~180秒という長尺のCM素材を用意し,視聴者が利用時に性別・年代とCMを見ての簡単なアンケートを入力することで,広告主が視聴者の属性やCMの評価が把握できるようになっている。広告主は,CMの視聴実績に応じて広告費用を支払う。こうした広告モデルは,地上波キー局のコンテンツでは初めてという。

電通とJ:COMは,テレビCMを効率的,確実に視聴者に届けていくための1つの方向性として,視聴者の嗜好に応じてテレビCMを届けていく新たな広告モデル「CMオンデマンド」を共同で研究するプロジェクトを進めていて,今回の試みも,その一環。HDDレコーダーの普及によるタイムシフト視聴やCM飛ばしの拡大が指摘されるなかで,テレビ広告価値の維持・向上策の一つとして注目される。

小川浩司