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不適切な字幕テロップで番組打ち切り東海テレビの『ぴーかんテレビ』

東海テレビが2011年8月4日に放送した情報番組『ぴーかんテレビ』で,岩手県産米の視聴者プレゼントの当選者を字幕テロップで「怪しいお米セシウムさん」などと表示した問題で,同局は8月11日,この番組の打ち切りを発表した。同番組は愛知,三重,岐阜の3県で1998年から放送されていた。

8月4日放送の『ぴーかんテレビ』では,岩手県産ひとめぼれ10kgの当選者欄に「怪しいお米セシウムさん」「汚染されたお米セシウムさん」と表示した字幕テロップが23秒間放送された。東海テレビは翌5日の同番組を休止のうえ,その放送時間帯で謝罪し,同日午後6 時36分から約15分間の謝罪特別番組を放送した。さらに8月30日に約1時間の検証番組『なぜ私たちは間違いを犯したのか』を放送した。

問題の字幕テロップはCG制作を担当する外部スタッフが「ふざけた気持ち」で仮作成したが,訂正されず誤って放送されたという。

放送画面に出た段階ですぐに字幕テロップを取り消せなかった原因については,番組スタッフが,その後に予定されていたスタジオコーナーのリハーサルを行っており,放送画面を見ていなかったからだという。

民放連の広瀬道貞会長は8月5日,原発事故による放射能の風評被害について最も敏感であるべき放送メディアとして極めて常識を欠いた表現であるとして謝罪コメントを発表するとともに,チェック体制や問題発生時の現場対応に留意すべきだとして,放送人の倫理観の確認など再発防止策に取り組むよう各局に異例の要請をした。

奥田良胤