メディアフォーカス

米,大手ネット企業の進出相次ぐオンライン音楽管理サービス

アメリカの大手インターネット関連企業が相次いで新たな音楽管理サービスに乗り出している。いずれもクラウドコンピューティングを使ったサービスで,各企業が持つ巨大なサーバーに利用者の音楽データを保存・管理し,利用者は,自分が保存した音楽をいつでもインターネット経由で自由に聴けるようになるというもの。これにより,CDを購入・保管する必要が無いだけでなく,ハードディスクなどに楽曲を保存しなくてもよくなる。

インターネット検索最大手のグーグルは5月10日,「ミュージックベータ・バイ・グーグル」というサービス名でアメリカの一部利用者向けにサービスの試験運用を開始した。利用者が自分の持っているCDの楽曲やネット上で購入した楽曲をグーグルのサーバーに送ると,パソコンや携帯電話などでいつでもそれらの楽曲を聴くことができる。サービスが有料になるかどうかは明らかにされていない。

グーグルはサービス開始にあたってレコード会社の協力を得られなかったため,このサービスには楽曲の購入機能は無い。音楽業界には,こうしたサービスでCDが駆逐されることになるのではないかという警戒感が強いとも言われる。

同様のサービスは,インターネット通販大手のアマゾンも今年の3月からアメリカで開始しているほか,ネットでの楽曲販売に実績のあるアップル社も近く参入を予定している。クラウドコンピューティングを使った音楽管理サービスが,今後音楽産業に大きな変革をもたらす動きになるのか,行方が注目される。

斉藤正幸