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外国人向け「NHKワールドTV」大震災で国内CATV174局が配信

外国人向け国際放送として2年前にスタートした「NHKワールドTV」を,東日本大震災に際して,NHKが在日外国人向け情報提供の一環として国内のCATV局に緊急配信したところ,174局で配信され視聴可能世帯は600万を超えたことが明らかになった。

外国人向けの「NHKワールドTV」は,発足の趣旨から国内には配信しないことになっていたが,NHKは在日外国人のために国内のCATV局に配信できるよう2010年12月に総務大臣の認可を受け,CATV局がNHKと契約をすれば衛星経由で受信が可能となっていた。NHKは3月15日に東日本大震災に伴う緊急措置として,CATV各局がNHKと正式に契約を結ばなくても放送できるように無料で番組の提供を開始した。しかし,「NHKワールドTV」を受信できるアンテナを設置しているCATV局が少なかったため,日本デジタル配信会社など配信事業社2社を通じてインターネットでの配信も行い,2社も配信料を無料にして協力した。

3月15日には,茨城県つくば市の研究学園都市コミュニティケーブルサービスが周辺地域の外国人向けに「NHKワールドTV」の放送を開始した。西日本でも近畿2府4県を放送エリアとする「ケイ・キャット」が3月26日から放送を開始した。

NHKはインターネット配信を4月9日午前0時に停止したが,CATV局のなかにはこれを機会に衛星受信アンテナを設置して直接「NHKワールドTV」を受信しようという動きも出始めている。

奥田良胤