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ラジオの合併4局まで容認 マスメディア集中排除原則緩和へ

総務省は2011年3月4日,マスメディアの集中排除原則を緩和し,ラジオ局の合併や放送区域が異なるテレビ局への出資の上限を引き上げる省令改正案を発表した。

集中排除原則の現行規制は,特例を除いて1つの放送局が別の放送局の株式を持つ場合は,放送対象エリアが同じなら10%まで,別の地域が放送対象エリアとなっている場合は20%までとなっている。今回の省令改正では,この規定をラジオ局(コミュニティ放送局を除く)に限定して適用除外とする。具体的には,放送対象エリアの重複にかかわらず,AM・FMの別を問わず,最大4局まで株式を保有することで経営権を取得することができるようになる。放送局同士の合併や他の企業による経営支配も4局までなら可能となる。

また,テレビ局(5局目以降のラジオ局,コミュニティ放送局を含む)についても,現行規制は1社が放送対象エリアの異なるテレビ局に出資する場合,2局目から出資比率は20%以内とされているが,今回の改正案では3分の1まで引き上げる。この結果,キー局が地方局の株式保有率を高め,経営支援がしやすくなる。

マスメディアの集中排除原則の緩和の背景には,ラジオ局や地方テレビ局の経営難がある。とくにラジオは若者のラジオ離れが顕著で,民放局のCM収入は,2009年は対前年比で10%減り,10年も5%程度の落ち込みが見込まれている。

総務省では,パブリックコメントを募集し,それを踏まえて2011年6月下旬をめどに施行したいとしている。

奥田良胤