メディアフォーカス

NHK 会長選考過程の混乱監査委員会が調査報告書公表

NHK 経営委員3人で構成されるNHK 監査委員会は2011年2月25日,前会長の任期満了に伴う新会長選任をめぐって混乱があった問題で,調査報告書をまとめ公表した。

NHK 新会長の選任にあたっては,経営委員会の要請で会長就任を受諾したと報道された慶應義塾の前塾長・安西祐一郎氏に対して,経営委員の3 分の2 以上の賛成が得られないとして,受諾の撤回を要請するという不手際が明るみに出た。

(本誌3月号「メディア・フォーカス」参照)

NHK 監査委員会は選考過程での議論が,新聞などで報道されたことが混乱を招いたとして,経営委員とNHK関係者に対して聞き取り調査などを行った。

報告書は,新聞などで報道された内容をリークした事実は経営委員にもNHK 関係者にもなかったが,記者が経営委員を取材した際に,「顔色の変化や態度等から裏付けの根拠を取得し,個別に取得した断片的な感触をつなぎ合わせて,事象全体の正確な認識を形成するという一般的な取材手法」で内容を確認された可能性は否定できないとしている。安西氏がつけたとされた就任条件は経営委員には知らされていなかった。就任受諾は,小丸前委員長から電話で経営委員に連絡があったが,経営委員の受け止めは一様でなかったという。

報告書は,外部に対する情報伝達については経営委員共通の認識が必要であり,経営委員会内部で情報共有化ルールの策定,経営委員間で情報交換ルート・伝達ルールの確立,が必要だと指摘している。

奥田良胤