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公平・公正性確保の認識に問題参院選時の4番組,放送倫理検証委が指摘

放送倫理・番組向上機構の放送倫理検証委員会は10年7月に行われた参議院議員選挙時に放送された番組をめぐって,選挙の公平・公正性にかかわるという疑問が寄せられた4番組についての意見を10年12月2日に発表した。

審議対象となったのは,長野朝日放送と信越放送の地域向けニュース,それにTBSのクイズ番組と,BSジャパンの旅番組である。

2件の地域向けニュースは,比例代表の非拘束名簿式の投票の仕組みを報道するなかで,長野県に関係がある4人の候補者だけを取りあげたものだが,委員会は,比例代表について制度上ありえない長野県という区切りを作り,参院選比例区に立候補した186人のうち長野県関係の4人だけ,12政党・政治団体のうち3政党だけを取りあげたのは明らかに政治的に不公平だと指摘した。

クイズ番組については,候補者の所属政党を当てさせるという演出によって,特定の候補者名を印象付けたと指摘した。

BSジャパンの番組は3年前にテレビ東京で放送された旅番組を投票日に再放送したものだが,候補者が出演していることに気付いておらず,選挙に対する関心が低く,きめ細かい配慮が不足していたと指摘した。

同委員会は,いずれも選挙の公平・公正性にかかわる認識不足や,関心の低さによる注意不足が原因であり,4番組以外にも問題視される番組があったことから,将来放送される選挙時の番組について深刻な問題が生じることが危惧される,と警告した。

奥田良胤