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リベラル派ケーブル局キャスター,政治家への寄付行為で出演停止処分

米NBC系列のニュースケーブル局,MSNBCの政治評論番組『カウントダウン』のキャスター,キース・オルバマン(Keith Olbermann)氏が,去年11月の中間選挙前に民主党候補者に寄付したことが社内規則に反するとして,NBCは11月5日,オルバマン氏を2日間の番組出演停止処分にした。

アメリカのケーブル局は,地上放送局のニュースに比べて政治色を出す傾向が強く,FOXが保守,CNNが中道,MSNBCはリベラルの論調が強いとされている。特に,共和党を支持するFOXと,民主党を支持するMSNBCはライバル関係で, 支持政党を鮮明にすることで,近年は共に高い視聴率を得ている。『カウントダウン』は平日夜8 時から放送され,MSNBCで最も人気がある番組。オルバマン氏は同局を代表するリベラル派コメンテーターとして影響力を持ち,11月の中間選挙も担当したが,民主党候補3人に事前に7,200ドルの寄付を行ったことが,報道担当者などの政治行為を禁じたNBC規則に反するとされた。一方のFOXは,番組担当者の寄付行為などについては禁止していない。NYタイムズは,今回のNBCの措置は,報道機関として政治と一線を画し,FOXとの違いを明らかにする狙いがあるとしている。一連の動きについて,ABCの報道番組『ナイトライン』のアンカーを長く務めたテッド・コペル氏は,ワシントン・ポストへの寄稿の中で,中立公正を目指さない最近のケーブルニュースの姿勢は,報道の衰退につながると批判している。

柴田 厚