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カナダ公共放送CBC,完全地上デジタル化を1年延期

カナダの公共放送CBCは,2011年8月31日に予定されているアナログ放送終了・デジタル完全移行の日程を1年先送りすることを,8月6日に明らかにした。

それによると,全国に27ある送信施設のうち,半分以上についてはアナログからデジタルへの変換作業を行うが,12 基については1年延期して2012 年8月までに終了するとしている。理由について,CBCのスティーブン・ギトン副会長は,デジタル変換には総額5,000万カナダドル(約42 億円)の費用がかかるが,CBCは2008 年度で総予算が18 億カナダドルと財政規模が小さいため,一度にすべてを変換することはできないと述べている。放送・通信の規制監督機関CRTCは8月5日にCBCから延期の申請書を受け取った。なお,CRTCでは2011年8月のアナログ終了を各放送事業者に義務づけてはいない。

2009 年11月に開かれたデジタル化関連の公聴会ではCBC以外の放送事業者からもデジタル化の日程について苦情が出されたが,CRTCは完全デジタル化の発表は2007年で,放送局には準備の時間は十分あったはずだと反論している。一方,ケーブル大手のロジャーズ・コミュニケーションや商業ネットワークの CTV,Global TVなどは来年までに完全デジタル化を行うことを明らかにしている。

カナダのテレビ所有世帯数は約1,370万で,このうち1,100万世帯はケーブルなどに契約しているが,地上放送のみを受信し,まだデジタル化への対応を行っていない世帯は85万近くあるとCRTCでは見ている。

柴田 厚