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韓国,サッカーW 杯単独中継でSBSに罰金支払い命令

放送通信委員会(KCC)は,7月23日,南アフリカ共和国で開催された2010FIFAワールドカップ(6月11日~ 7月11日)を単独で中継した商業放送局SBSに対し,中継権をめぐって話し合うように是正を命じた(4月23日)にもかかわらず,これを履行しなかったとして,19億7,000万ウォン(1億5,000万円)の罰金を支払うよう命じた。同時に,公共放送KBSや準公共放送MBCに対しても警告措置を行った。

韓国では,2012年から2016年まですべてのオリンピックとワールドカップの中継権をSBSが単独で獲得しているが,KCCは,SBS が他局への中継権販売に消極的であり,また,KBSやMBCも,SBSとの交渉を積極的に行わなかったと判断した。韓国の放送法は,国民的関心が高いスポーツ競技大会(オリンピックやワールドカップ)などについては,国民の普遍的な視聴権の確保を定めているほか,中継権の獲得をめぐって事業者間で過度な競争を行わないようKCCが勧告できることも定めている。とはいえ,KCCの勧告に強制力はなく,中継権に関しては,あくまでも放送局の自主的な交渉が原則となっている。

かつてワールドカップ期間中は,地上放送3社が一斉に競技を中継していたため,「サッカーを見たくない人のチャンネル選択権が保障されていない」といった批判があった。しかし今回は,SBSが独占的に中継を行う一方,KBSとMBCは定時番組を放送することで,ワールドカップに関心を持っていない30 ~ 60代の女性視聴層獲得に成功したといった声も出ていた。

田中則広