メディアフォーカス

親のテレビ観は好意的 「家族と一緒」視聴が増える

~日本PTA 全国協議会の調査~

PTAの番組調査といえば,これまで子どもに見せたくない番組を指摘することで注目されてきたが,09年度の調査では「子どもに見せたい番組がある」と答えた人が,「見せたくない番組がある」と答えた人より10%以上多いことがわかった。

日本PTA 全国協議会が2010年5月13日,親と子どものマスメディアに関する意識調査の結果を公表した。この調査は,2002年度から毎年行われているもので,09年度は全国の小学5 年生と中学2年生,それに保護者の計9,600人を対象に調査票を配付・回収する方式で09年11月24日から12月7日の間に行われた。回収率は子どもが80.6%,保護者が75.5%であった。

調査項目はテレビをはじめ,ゲームやパソコンなど多岐にわたっているが,ここではテレビに関する調査結果について取上げる。

テレビ視聴に関しては,最近小中学生とも「家族と一緒に見る」傾向が強まっている。小学5年生では05年度51.9%だったが,09年度は59.7%で7.8ポイント増えている。中学2年生でも,05年度の41.7%が09年度には49.4%に増えている。

「一家団らん視聴」復活の兆しが見えることについて調査の分析にあたった千葉大学の明石要一教授は,不況の影響で家庭でのテレビの共用が増えた,保護者の帰宅が早くなったなどが原因ではないかと分析している。

テレビにどんな役割を期待するかでは,「内容が役に立つ」が59. 4%,「知識が豊富になり学習の助けになる」が57. 2%,「家族団らんに役立つ」が56.0%で,気分転換や友達との話題づくりよりも番組内容に重きをおいており,保護者のテレビ観は好意的であると明石教授は分析している。

次に,「見せたい番組があるか」との質問に対しては,小学生の保護者では40.7%,中学生の保護者では35.4%が「ある」と答えている。これに対して,「見せたくない番組がある」とする保護者は,小学生では27.5%で,07年度の34.4%から6.9ポイント下がっている。中学生でも21. 2%に過ぎない。小中学生ともに10%以上「見せたい番組がある」とした保護者の方が多い。

一部のテレビ番組に対しては,内容がばかばかしい,言葉が乱暴である,常識やモラルを極端に逸脱している,などの厳しい批判があるが,一方で保護者は,知識が豊富になる,学習の助けになる,家族団らんの時間が持てる,などの理由で,「見せたい番組がある」と回答したものと,明石教授は見ている。

また,「見せたくない番組」に関して,スポンサーに責任があるかどうかを質問したところ,「責任がある」と答えた保護者は,07年度が71.7%,08年度が65.9%,09年度が64.7%と年々減少している。これについて,明石教授は「興味深いデータ」だとしており,「保護者たちの間でテレビ視聴は送り手の問題もあるが,受け手の自己責任だ,という意識が芽生えつつある」と分析している。

しかし,メディア全体に対して保護者は情報内容に懸念を抱いており,「マスコミの情報をう呑みにせず批判的に捉える情報リテラシーを子どもに身に付けさせたい」と思う保護者が76.2%にのぼっている。

奥田良胤