メディアフォーカス

英連立政府,メディア政策を発表

イギリスで5月の総選挙の結果誕生した保守・自民連立政府は20日,政府政策の全容を発表した。放送やメディアの所管については,前労働党政府からの変更は行わず,「文化メディアスポーツ省」とし,保守党の影の担当相だったジェレミー・ハント氏(43歳)が大臣に就任したほか,文化やスポーツを所管する担当副大臣3名も保守党陣で固められた。発表された連立計画によると,メディア関連の政策は次の3点である。

  • ① 公共放送BBC の独立を維持する一方,透明性を確保するために会計検査院(NAO:National Audit Office)がBBCの会計に全面的にアクセスできるようにする
  • ② ローカルメディア業界の多様化と活性化を促進するために,地方の新聞とラジオおよびテレビ間の協働を容易にする
  • ③ 高速ブロードバンドの全国普及を保障する。過疎地などの普及に必要であるならば,テレビ受信許可料の一部を利用する

両党は総選挙前の公約でそれぞれ,「強力で独立したBBCを守り,発展させる」としていたが,言説による限りBBCに対する姿勢が後退していると言える。また,ローカルメディアの支援については,労働党はテレビ受信許可料の一部導入を決め,自民党もそれに賛成していたが,保守党案の所有規制の緩和策によって経営改善を図る考えがとられた。一方,テレビ受信許可料の一部が,高速ブロードバンドの全国普及に利用されることが明確にされたが,この事業を,BBCが何らかの方法で関わるのか,それとも全く切り離して行うのかは明らかにされていない。

中村美子