メディアフォーカス

ジュピターテレコム社株,KDDIが31.1%住友商事,公開買付けで40%取得へ

KDDIが2010年2月19日,CATV最大手のジュピターテレコム社(以下J:COMと記す)株の31.1%を取得した。NTTと異なり,自前のブロードバンド回線を持たない地域のあるKDDIは,CATVと提携することによって回線を確保し,電話とインターネット,テレビをつなぐサービスの充実を狙っている。

KDDIは10年1月25日, アメリカのメディア複合企業「リバティ・グローバル」の子会社3社を3,617億円で買収して,3社の保有するJ:COM株(37.8%)を取得し,J:COMを関連会社にする方針を明らかにした。

ところが,金融庁から子会社を買収するかたちでの大量の株取得は,市場外で株を取得する「不透明な取引」に当たると指摘された。

KDDIは,3分の1以上の株を取得する場合に義務付けられている公開買付けに踏み切れば,取得費が嵩(かさ)むことから,2月12日に方針を転換した。KDDIは,子会社の買収で取得する株式のうち,31.1%(議決権ベース)を保有し,残りの6.7%は,信託銀行に信託譲渡することとした。

一方,「リバティ・グローバル」と共同で複数のCATVを運営する会社を設立し,J:COMの主要株主であった住友商事は2月15日に,J:COM株の公開買付けを実施すると発表し,40%(議決権ベース)の取得を目指すことを明らかにした。

KDDIは対抗措置をとらない方針で,公開買付けが成功すれば,住友商事が主導権を握る筆頭株主となり,J:COMは2大株主体制となる。

奥田良胤